2024年安全走行講習会実施の趣旨
- 日本山岳耐久レース全コース(71.5km)を、迷わず、安全に、自然と他者に敬意を払い、かつ楽しく完走できる知識と技術を習得してもらうと共に、トレイルランニングの普及と安全登山の徹底及び自然保護マナーを啓発していく指導者の養成を目指す。
- 走力向上だけのための講習ではなく、安全走行講習会の趣旨を具現化するため、
- 昼夜を問わず安全にコースを走行できる技術と知識(夜間走行、食糧計画、体力、走法等)
- 緊急時の対応(セルフレスキュー、救護、搬送、ビバーク等)
- 山の基礎知識(マナー、気象、用語、地図読み、地理、歴史等) を習得してもらう。
- 日本山岳耐久レースの選手マーシャルとしての育成
日程と内容の概略
日程 | 場所 | テーマ/内容 |
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第1回 4月14日(日) |
五日市交流センター |
山の基礎知識、登山計画、山岳におけるリスク、山岳事故、気象、競技規則と審判、選手マーシャル、特別講師 三浦裕一氏(第26回ハセツネCup優勝、第30回ハセツネCupダブル完走)による完走対策 |
第2回 5月11日(土) |
五日市交流センター |
セルフレスキュー、読図基礎 セルフレスキュー、ロープワーク、テーピング、三角巾、搬送法、特別講師 坂本元太氏(登山ガイド・山岳救助隊員)による野外救命講習、読図基礎 |
第3回 6月16日(日) |
武蔵五日市 および 奥多摩山域 |
読図実践 (公社)日本オリエンテーリング協会認定ナヴィゲーション・インストラクターによる読図実践 |
第4回 7月7日(日) |
武蔵五日市 および 奥多摩山域 |
安全走行テクニック 特別講師 三浦裕一氏、髙村貴子氏による安全走行のためのテクニック |
第5回 8月3日(土) |
武蔵五日市 および 奥多摩山域 |
コース実走(グループ) 登山計画、読図、ナイトラン、グループ走行、ビバーク |
第6回 9月7日(土) |
武蔵五日市 および 奥多摩山域 |
コース実走(単独)検定試験 修了式 登山計画、読図、ナイトラン、ビバーク、特別講師 須崎直洋氏(御嶽神社御司)による山岳信仰講話 |
注:講習内容・講師は変更になる可能性があります。
応募要項
募集人数 : 35名
参加資格 :
- 安全走行講習会実施の趣旨を理解し、学ぶ意欲のある方。
- 全6回全ての講習に参加できる方。
-
普通救命講習又は赤十字救急法基礎講習の有効な資格(受講日から3年以内)を有している方。失効、未受講の場合は5月末までに取得できる方。なお未保有の方は、6月上旬(日程調整中)渋谷消防署にて普通救命講習受講可能。
※救命講習実施機関により、有効期限が延長されている場合がございます。この場合、延長された有効期限内の資格を有していれば構いません。
参考:東京消防庁 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/life01-1.htm
- 自身に関わる地域や団体等においてトレイランニング初心者を対象に、専門的な知識を活かし、安全走行の指導にあたりたい方。
- ZOOM、Facebookグループを利用した情報共有やオンライン講習をおこなうことがありますので、PCやスマホを使ったネットワークへの接続環境がご用意できる方。
選考方法 : 書類選考(応募動機・抱負等を考慮)
参加費用 : 33,000円(税/保険含む)
※現地までの交通費、教材等の実費は参加者のご負担となります。
※受講に必要な中型バックパック、ツェルト、ストック、ココヘリ等登山装備をお持ちでない場合は別途必要になります。
全6回の講習を全て終了し、検定試験に合格した方に、第32回日本山岳耐久レースハセツネCupのエントリー権を付与します。但し選手マーシャルとして参加し完走することが義務(エントリー費は別途必要)。選手マーシャルはココヘリ以外の必携装備品(ファーストエイドキット等)があります。万が一大会が中止になった場合、エントリー権は翌年に持ち越せません。
申込方法
2024年度安全走行講習会は、3月08日24:00をもちまして、受付を終了致しました。
たくさんのご応募をありがとうございました。
後記「申込規約」「個人情報の取り扱いについて」に同意の上、こちらの2024年安全走行講習会応募フォーム
(Googleフォーム)よりお申し込みください。
申込期間 : 2月9日(金) 〜 3月8日(金)
※先着順申込みではありません。
合否発表 : 書類選考の上、3月下旬頃までにご登録のメールアドレスに合否連絡
※参加費用は合格の通知後お支払いいただきます。
主催・主管等
主催者 | 一般財団法人 日本山岳スポーツ協会 代表理事 原 誠一郎 |
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指導責任者 |
一般財団法人 日本山岳スポーツ協会 安全走行講習会実行委員長 坂上 明子 |
講師 | 公益財団法人日本スポーツ協会公認 山岳コーチ(旧称:山岳指導員)ほか、講習経験者 |
特別講師 |
三浦 裕一氏(第26回ハセツネCup男子総合優勝、第30回ハセツネCupダブル完走) 髙村 貴子氏(第31回ハセツネCup女子総合優勝・5連覇、女子コースレコードホルダー) 坂本 元太氏(登山ガイド・マウンテンレスポンダー・諏訪地区遭対協救助隊員) 須崎 直洋氏(武蔵御岳神社禰宜・宿坊「嶺雲荘」主) |
事務局 |
一般財団法人 日本山岳スポーツ協会 日本山岳耐久レース実行委員会事務局 FAX : 03-6380-2932 MAIL : jimukyoku@hasetsune.jp |
※特別講師は変更になる可能性があります。
申込規約
- 地震・風水害・降雪・事件・事故・疫病等による講習会の縮小・中止についてはその都度実行委員会が判断し、決定します。
- 受講生は、講習会中に実行委員会より講習参加に支障があると判断された場合、実行委員会の参加中止の指示に直ちに従うものとします。また、その他、実行委員会の安全管理・講習会運営上の指示に従うものとします。
- 受講生は、講習会において、営利、宗教、政治等を目的とした活動、その他講習会の趣旨に反する活動を行ってはなりません。また、これに違背した場合、参加中止の指示を受けても異議を述べることはできません。
- 受講生は、講習会中に傷病が発生した場合、スタッフによる応急手当てを受けることに異議を述べず、またその方法、経過等について、実行委員会及び当該スタッフの責任を一切問わないものとします。
- 講習会中の事故、紛失、疾病等に関し、実行委員会は一切の責任を追わず、受講生は実行委員会に対し損害賠償等の請求を行わないものとします。
- 講習会中の事故、傷病等に対する実行委員会側からの補償は、実行委員会が加入した保険の範囲以内に限定されます。
- 受講生は、講習会の映像・写真・記事・記録等(において氏名・年齢・性別・記録・肖像等の個人情報)が新聞・テレビ・雑誌・インターネット・SNS・パンフレット等に報道・掲載・利用されることを承諾するものとします。また、その掲載権・使用権は主催者に属します。
- 申込者の個人情報の取り扱いは、別途記載する実行委員会の規約に則ります。
- 上記申込規約の他、主催者及び実行委員会が別途定める規約(本ページ記載内容を含みます。)に則ります。
個人情報の取り扱いについて
- 主催者及び実行委員会は、個人情報の重要性を認識し、個人情報の保護に関する法律及び関連法令等を厳守し、主催者の個人情報保護方針に基づき、個人情報を取り扱います。
- 応募フォームからお送りいただく個人情報は、合否通知、参加案内及び受付等講習会運営業務並びに次項に掲げる目的に利用いたします。
- 参加決定者には、登山計画(警察署提出)、保険加入及び事故発生時等の緊急連絡のために、住所、生年月日、緊急連絡先等の所要の個人情報をご提供いただきます。
実行委員長あいさつ・修了生の体験記
安全走行講習会 実行委員長 坂上明子
(一般財団法人日本山岳スポーツ協会理事・公認山岳コーチ・自然保護指導員)
今年で17年目を迎える安全走行講習会、修了生の数も450名を超え、ハセツネCupは勿論、全国各地のトレイルレースにおいても講習会での学びや選手マーシャル経験を生かし、大会の安全を守るスタッフとして安走会OB・OGが活躍しています。各方面から修了生(ハセツネクラブ員)の活動は高い評価を頂いており、指導者として大変喜ばしく感じております。
講習会の期間はたった6ヵ月。限られた時間の中で貪欲に学び、その後も研鑽を積んで山の安全やマナーを指導できるリーダーとなり、日本のトレラン界の未来を担う人材となっていただけることを期待します。
選考は書類審査。山歴や走力重視の選考ではありません。将来性、積極性、社会性等を基準に選考いたします。「応募動機・抱負」で安走会への意欲や将来の展望をお伝えください。また過去の選考で残念だった方の再応募も歓迎いたします。
2023年度 安全走行講習会・体験記
中浴智昭(第16期修了生)
私は新宿のビル街で働く会社員で、トレイルランニング歴3年。コロナ禍で街を走るのが憚れた時期に山に入った、山の知識に乏しい新参者でした。安全走行講習会(以下、安走会)との出会いは2022年10月。ハセツネCupの1週間前にノープランで試走。日が暮れ不安の中、暗闇を走っていると長尾茶屋の灯りが。ご主人にあたたかいコーヒーでもてなされ会話を楽しんでいると、「この辺りをアンソウカイが走るんだ」とご主人が一言。「アンソウカイ?英語?なんかのクラブ?あっ暗闇を走るから“暗走会”か」、と勝手に解釈しまた夜道を急ぎました。
大会当日もノープラン。雨の天気予報は確認済みも、まさかの土砂降り。まるで田んぼを走るかのような状況に対応出来ず制限時間ギリギリでフィニッシュ。その後、別のレースでのボランティアでは夜間に1人で選手誘導。寒さに凍える選手を見ているうちに、動けなかったり怪我をしている選手がきたら自分に何ができるだろと不安に苛まれての活動でした。そうした選手としての不安、また緊急時対応の不安を抱えていた時に、たまたまネットで「安走会」を知ります。「これだったのか!これだ!」と応募。そして晴れて16期生として受講が許可されました。
受講生は年齢もバックグラウンドも様々。しかし皆が半年後は選手マーシャルとして出走し70km走破が求められます。講義の最初の2回は座学。山の知識、緊急時対応など驚きに満ち、夢中で講義内容を書き留めたテキストは私の宝物です。第3回は大雨の中、読図。地図アプリに頼り切っていた自分には目から鱗でした。ハセツネコースを走る実走の回では、プロ選手からレースの心構え、練習方法やテクニックなどマンツーマンの指導。第5回はグループ走。計画力のチーフリーダー、行動力があるサブリーダー、トレイル経験値が高い女性ランナーと、私の4人で準備。当日は雷雨の中、フォローし合いほぼ登山計画通りに進めて大いに自信に。またツェルトでのビバークでは深夜まで皆と語らい、思い出深いものになりました。二日間に渡る修了検定では試走や読図の勉強など半年間の集大成に備えました。単独かつ猛暑や霧の中での検定は思い描いた様には行きませんでしたが、なんとか検定を修了。そして1ヶ月後、ハセツネCupに挑みます。
レースプランとマーシャルとして選手からの想定問答も用意し準備万端。当日には選手代表として阿伎留神社にて安全祈願にのぞみ、心に余裕が生まれ、安心してスタートラインに立つ事ができました。しかしトレイルに入ってすぐに一人の選手が私の目の前で突然倒れます。同時に「マーシャルっ!」と大きな声。はっとしていると後ろから講習生ではないドクターマーシャルがすぐ駆け付け、幸いにも選手は貧血のみでレース復帰。現場での医師の対応はあらためて勉強になりました。その後、前半はプラン通りも、後半は胃腸トラブルから歩き通しに。しかしプロ選手の教えのおかげか集中が途切れず、また仲間からの声掛けで元気をもらい、コース上でマーシャルとして対応している仲間がいる事を思い自分もできる事をしようともがきました。結果は昨年のタイムを約5時間50分短縮。悪夢のようなレースの記憶を上書きできた達成感と、同期の出迎えで胸が熱くなりました。
私が一年前に初めて聞いた「アンソウカイ」は、私たち16期生に山の知識と技術を伝達するため、委員長はじめスタッフの方々が惜しげもなく時間を割いて下さる講習会でした。本当にありがとうございました。
そして個性あふれる素晴らしい受講生に出会いましたが、皆の思いは共通です。「大切な休日を削り、山の知識と技術を磨く」。
私はかけがえのない仲間を「安走会」で得る事ができました。
田平礼子(第16期修了生)
ランニングを始めて約13年。今も自分のペースでランニングや登山を楽しんでいます。ランニングを始めた頃お世話になった練習会でトレイルランニングにも出会いました。自然の中で走る楽しさはもちろん、マナーや安全についての大切さも教わりました。その後、大会ボランティア、登山道の整備、練習会のサポートなど、このスポーツを通じ様々な経験をさせていただきました。そうした出会いの中で学んだこと、教わったこと、その楽しさを自分もちゃんと伝えられるようになりたいと思う一方で、心配なのは山での緊急時にはどう対応したらよいのか、予めどのような準備や工夫をしたらよいのかということでした。山でのリスク対応についてしっかりと知識や技術を身につけたいと思い、この安全走行講習会(以下、安走会)に応募をしました。
地図読み、応急処置、ビバーク、グループ走、単独走、最後の修了試験に合格するとハセツネCupで選手マーシャルとして参加します。私には初めてづくしで、もちろん初対面の人ばかり。緊張の中、毎回ワクワクしながら五日市に通いました。安走会は1回1回完結ではなく、1回目は2回目に、2回目までの内容は3回目にと、学んだことはすべて足されていき、フルに活かしていくところがとても楽しく感じました。登山計画を立てる習慣、メンバーとの情報共有、装備や相手の気持ちを考えることなども自然と身に付きました。一方、回を追うごとに迫りくる修了試験。そのための準備では、いつものランニング仲間にツェルトの展張を見てもらったり、中に入ってもらったりもしました。また途中わからないことがあった時、私にとって質問することは少し勇気がいることだったのですが、それに対しても先輩方が快く答えてくれました。考えるヒントをいただいたり、時には長いディスカッションに発展することもありました。慣れないことや、苦手なことを少し克服できたこと、それも安走会に参加してよかったと思うことの一つです。
このようにして、皆と気持ちを一つにしてハセツネCupの選手マーシャルとして参加できたことは 本当にいい経験になりました。講習が始まった頃はたったの6回で同期の皆と仲良くなれるのか不安でしたが、終わる頃にはかけがえのない仲間となりました。先輩方も大変心強い存在です。また講習を通して大会に携わるすべての人々がどれほど安全を願っているか、いかに日頃から自然保護に関心を持ち取り組んでいるか、身に沁みて感じることができました。先輩の皆様が全力で準備し、伝え、見守ってくださったように、私自身もこれから先、先輩方のように取り組みたいと思います。