第1章 総則
第1条(目的)
- 本規則は、日本山岳耐久レース(24時間以内)〜長谷川恒男CUP(以下、本大会という)における競技に関する事項を定める。
- 本大会は、奥多摩主要峰全山全長71.5kmを、制限時間24時間で走破するトレイルランニングレースであり、レースを通じ、故長谷川恒男のスピリッツである自己の限界に挑戦する遺志を受け継ぎ、安全に、かつ、自然との共存に配慮し、また、他の競技者、役員並びに他のスポーツに対する尊敬と憧憬の念をもって、自然というフィールドで楽しむことを目的とする。
第2条(定義)
- 本規則において、会場とは、競技のスタート前、フィニッシュ後における、選手の受付、表彰、荷物の預かり等をする施設、場所をいう。
- 本規則において、コースとは、競技のスタートから、フィニッシュまでの競技が行われる場所、道路、登山道をいう。
- 本規則において、競技中とはスタートからフィニッシュまでをいう。
- 競技の中止とは、審判が選手に対し、競技中に競技を中断させ、以後の競技の続行を認めないことをいう。
- 競技の停止とは、審判が選手に対し、競技中に競技を一時的に中断させ、停止事由が消滅した時は、競技を再開することをいう。
第2章 選手
第3条(参加資格)
選手は本大会に出場するには、以下の各号のすべての要件をみたさなければならない。
(1) | 大会当日において満16歳以上であること。(18歳未満の参加者は保護者の承諾が必要) |
(2) | レースの全コースを迷うことなく、制限時間内に完走する自信があること。 |
(3) | 大会が指定する会員制捜索サービスに加入していること。 |
第4条(優先参加資格)
前条各号の参加資格を満たした者で、以下の各号いずれかの要件をみたす者は、優先参加資格を得ることができる。
(1) | 招待選手:過去の大会において優秀な成績をおさめた者及び日本山岳耐久レース実行委員会(以下大会実行委員会という)が特に定める者。 |
(2) | 過去の大会で制限時間以内に20回以上完走した者。 |
(3) | 特別優先参加資格者:大会実行委員会が定めるレースでの完走、行事への参加、大会でのボランティアなどにより、大会実行委員会が参加を認めた者。 |
第5条(参加の申込)
- 大会に出場を希望する者は、大会実行委員会が定める方法により申し込みを行わなければならない。
- 大会実行委員会は、前条の優先参加資格を有する者の定員数及びその他の者の定員数を決める。
- 参加の申込をする者は大会実行委員会が定める参加料を指定の期日までに支払わなければならない。
第6条(チーム申込)
選手は個人の申し込みと合わせて、他の2選手とともに3人一組でチーム申込をすることができる。
第3章 組織(役員およびその任務)
第7条(組織)
本大会の準備、運営及び審判は、以下の委員会及び各部が分担する。
(1) | 大会実行委員会 |
(2) | 大会本部 |
(3) | 運営部 |
(4) | 輸送部 |
(5) | 審判部 |
(6) | 広報部 |
(7) | 救護部 |
(8) | 競技部 |
(9) | 財務部 |
第8条(大会実行委員会)
- 大会実行委員会は、実行委員長、副実行委員長のほか、一般財団法人日本山岳スポーツ協会を含む各種後援団体の代表、各部の代表者で組織する。
- 大会実行委員会は、本大会の開催の日時、会場、コース、申込方法等を定め、本大会の事前の準備および大会中、大会後の実務運営主体となる。
- 前項の本大会に関する競技関連事項は、一般財団法人日本山岳スポーツ協会が主管する。
第9条(大会本部)
- 大会本部は、大会会長、大会実行委員長、大会事務局で組織する。
- 大会会長は、大会当日において本大会を代表する。
- 大会実行委員長は大会運営の総責任者として大会会長を補佐し、大会会長が欠けるときは、会長を代行する。
第10条(運営部)
- 運営部は、会場において、選手が円滑に競技に臨めるよう、選手の誘導、受付、開会式の運営、表彰式の運営、控室の準備、片付け等、競技の前後に選手を補佐する。
- 運営部は、備品の管理を行う。
- 運営部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める運営部実務要項に委任する。
第11条(輸送部)
- 輸送部は、大会役員並びに機材の搬送、リタイア選手の搬送及び駐車場の管理を行う。
- 輸送部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める輸送部実務要項に委任する。
第12条(審判部)
- 審判部は、選手が公平に扱われ、かつ競技規則を遵守していることを競技中及び競技の前後において審判し、各選手の記録を判定する。
- 各大会の全役員は、審判部の指示に基づき、前項の審判、判定を行う。
- 審判部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める審判部実務要項に委任する。
第13条(広報部)
- 広報部は、大会の広報を行うために必要な活動を行う。
- 広報部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める広報部実務要項に委任する。
第14条(救護部)
- 救護部は、コース上の所定のポイントに常駐し、あるいはコース上を移動して、本部並びに救護部相互の無線連絡、及び事故発生時に本部への連絡を行い、その指示に従い、要救護選手の救護、搬送を行う。
- 救護部は有事の事故の際は本部の指示によりレスキューマーシャルを統括する。
- 救護部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める救護部実務要項に委任する。
- 救護部の元に救護室を設置する。
第15条(競技部)
- 競技部は、競技が公正、公平、円滑かつ安全に行われるように、選手を誘導、応援、並びに競技規則に則った補佐を行う。
- 競技部役員は、救護部から救護の援助の要請があった場合、あるいは要救護選手を確認した場合は、選手の救護にあたり本部との連絡を行う。
- 選手マーシャルは、競技部に所属し、選手として競技に出場しながら、かつ、他の役員への連絡、審判の任務を負う。
- 競技部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める競技部実務要項に委任する。
第16条(財務部)
- 財務部は、本大会の経理を担当し、本大会の収支の管理並びに出納を行う。
- 財務部の担当業務の詳細、組織等は、別に定める財務部実務要項に委任する。
- 本大会における役員の謝金、交通費の支払いは財務部の定める財務部実務要項に従う。
第4章 競技の場所と施設
第17条(会場)
- 競技会場の場所ならびに使用する施設は、大会実行委員会が定める。
- 競技会場の設営、施設の管理は、運営部が担当する。
- 競技会場の詳細は、別に定める。
第18条(コース)
- 競技のコースは、奥多摩山域の71.5kmとし、以下の各号の地点を通過する。
(1) 五日市中学校スタート (2) 今熊神社 (3) 市道山分岐 (4) 醍醐丸 (5) 生藤山 (6) 土俵岳 (7) 笹尾根 (8) 三頭山 (9) 大岳山 (10) 御岳神社 (11) 金比羅尾根 (12) 五日市会館前フィニッシュ - コースの詳細は、大会実行委員会において決定する。
- 競技コースの整備、施設の管理は、競技部が担当する。
- 競技コースの詳細は、別に定める。
- 競技コースには、関門および予備関門を設ける。
- 競技コースの適切なポイントに、点滅灯及びコース表示等の設置を行う。
第5章 競技
第19条(競技の日時)
競技の日時は、大会会場及び競技コースを管轄する行政区域との調整の上、大会実行委員会がこれを定める。
第20条(選手の服装および装備)
- 選手は、全コースを安全に完走できる服装で、かつ他の選手、役員、一般のコース利用者に迷惑のかからない服装を着用しなければならない。
- 選手は、大会受付で渡されたアスリートビブス及び記録計測具を装着しなければならない。
- 前項の記録計測具は、競技終了後若しくは競技中止後、これを大会役員に返却する。競技に参加しない場合も同様とする。
- 選手の装備品は、水2リットル以上、防寒具兼用の雨具、行動食、ライトを推奨する。
- 大会が参加条件として指定する会員制捜索サービスのID付き発信機は必携装備とし、そのほかの選手自身が必要とする装備品は制限しない。
- 前項の規定にかかわらず、ポール並びにこれに代わる杖等はスタートから第1関門の浅間峠までは使用できない。その区間においては、ポール並びに杖等はパックに装着するものとし、手に持って走行することは禁止する。
第21条(種目)
- 本大会の競技種目は個人単位で参加し、全コースを24時間以内に走破するもののみとする。
- 表彰に関する事項は、別に定める。
第22条(制限時間)
- 競技には予備関門(入山峠3時間、醍醐丸6時間)、第1関門、第2関門、第3関門及びフィニッシュ地点に制限時間を設ける。これを超えた選手はレースを中止し、役員の指示に従い下山しなければならない。
- 第1関門は浅間峠に設け、制限時間はスタート後9時間とする。
- 第2関門は月夜見第2駐車場に設け、制限時間はスタート後15時間とする。
- 第3関門は御岳山長尾平に設け、制限時間はスタート後21時間とする。
- 第2項から前項までの関門を制限時間内に通過した後、フィニッシュ地点の制限時間はスタート後24時間とする。
第23条(順位の決定)
- 第18条に定めたコースを完走するのに要した所要時間の少ない選手から順位を決定する。
- 所要時間は記録計測具にて百分の一秒まで計測する。
- 所要時間は、スタート時間から計測を開始し、フィニッシュ地点を通過するまでの時間をいう。
- 所要時間が同じ選手がいた場合、同着とし、それ以降の選手の順位は、同着選手の人数分これを繰り下げる。
第24条(スタート)
- 本大会において、選手のスタートの時間は、スタートの合図がされた時間とする。
- 選手はスタート前に、自己の予測される所要時間に従い、スタート地点の指定された場所に、役員の指示に従い、整列しなければならない。
第25条(フィニッシュ)
本大会において、選手のフィニッシュの時間は、フィニッシュラインを記録計測具が通過した時間とする。
第26条(補給)
- 大会主催者側からは、月夜見第2駐車場のみ1.5リットル以内の水分の補給を行う。
- 選手は前項のほか、以下の3ヵ所でのみ、水分の補給をすることができる。
(1) 大岳山山荘(約200m先、自然水) (2) 綾広の滝・上部(御岳山から1.5km手前、自然水) (3) 御岳神社(自然水) - 前2項のほか、選手は、水分並びに食糧の補給を、他の選手、役員、応援者などから受けることができない。選手自身による水分並びに食糧の補給も同様とする。
第27条(補助行為、助力行為)
- 選手は、他の競技者、役員、応援者など他者からの競技を行う上で不正に有利になる補助行為並びに助力行為を受けることができない。
- 前項の補助行為並びに助力行為については、審判部実務要項に定める。
- 前2項の規定にかかわらず、選手の安全を第1に置き、事故、傷病における救助、救護行為は、必要最小限のものに限り、これを受けることができる。
第28条(走行の方法)
- 選手は定められたコース以外、走行してはならない。
- 休憩、仮眠、治療など、安全のため止むを得ずコースを離れなければならない場合は、不正に有利にならないように、コースを離れた場所から再び走行を開始する。
第29条(リタイア)
- 選手は傷病、その他競技の続行ができないと自ら判断した場合、競技をリタイアすることができる。
- 選手が競技をリタイアする場合は、コース上の役員にリタイアの意思を申し出なければならない。
- コース上の役員は、リタイア選手の氏名、レースナンバーを確認し、記録計測具を回収し、大会本部、審判部長に対し、直ちに報告する。
第30条(失格)
- 故意または過失により、次の各号の一つに該当する選手は、失格となる。
(1) ゴミをレース中に投棄した選手 (2) アスリートビブスを着用しなかった選手 (3) 自然保護に違反する行為があった選手 - 理由のいかんによらず、次の各号の一つに該当する選手は、失格となる。
(1) 条件を偽って参加した選手 (2) 競技規則に違反した選手 (3) 審判および役員の指示に従わなかった選手 (4) 規定の時間を超えて関門に到着した選手および最終制限時間を超えた選手 (5) 第26条に定める水場(自然水)以外での水補給及び食料等の補給を受けた選手 (6) 第27条の補助行為、助力行為を受けた選手 (7) 不正行為があった選手 - 役員は、前2項各号の失格となる選手に競技の中止を命じなければならない。
第31条(競技の中止)
- 役員は、選手が競技中、次の各号の一つに該当する場合、競技の中止を命じなければならない。
(1) 選手が前条の失格に該当する場合 (2) 選手が傷病その他の事情により競技を続行することが不可能あるいは続行することが著しく危険であると現認した場合 - 役員は、前項の競技の中止を命じた場合、競技を中止した選手の氏名、レースナンバーを確認し、記録計測具を回収し、大会本部、審判部長に対し、直ちに報告する。
第32条(競技の停止)
- 役員は、不可抗力により、選手が第30条1項各号の結果を生じた場合、この改善を求めるため、当該選手に対し、競技の停止を命じなければならない。
- 選手は、前項の改善を役員から命ぜられた場合、直ちに改善しなければならない。
- 役員は、前項の改善を認めた場合、選手に対し選手の再開を宣言する。
第6章 表彰
第33条(個人表彰)
- 総合男子および女子の第1位の選手には長谷川カップ、第1位から第6位の選手にはメダルと賞状を授与する。
- 男女別10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上の年代別の第1位から第3位の選手にはメダルと賞状を第4位から第6位まで選手には賞状を授与する。
- 前1項の総合の入賞者は年代別表彰の対象外とする。
- 完走者(制限時間24時間以内)には、当日、完走証(スプリット、関門記録入り)並びに完走賞を授与する。また、記録集を後日、発送により授与する。
第34条(チーム表彰)
- 個人表彰のほかにチーム表彰をする。
- 予め、第6条の規定に従って、チーム申込を認められたチームについては、チーム構成者3人の合計時間を算出し、所要時間の少ないチームから順位を決定し、第1位のチームには優勝カップ、第1位から第3位のチームにはメダルと賞状を第4位から第6位までの選手には賞状を授与する。
- 前項の合計時間の算出には、3人とも完走しなければならない。
第35条(アドベンチャーグリーン)
通算10回完走者には「アドベンチャー・グリーン」の称号とメダルと賞状を授与する。
通算20回完走者には「スーパーアドベンチャー・グリーン」の称号とメダルと賞状を授与する。
第36条(敢闘賞)
敢闘賞として最高齢完走者には記念カップを最年少完走者の男女には記念盾を授与する。
第7章 抗議
第37条(抗議)
- 選手は、選手の失格、競技の中止等に関し、抗議をすることができる。
- 抗議は、審判部長に対し、口頭若しくは文書で行う。
- 審判部長は、抗議の内容及びこれに対する裁定を本大会ホームページで明示する。
付則
- 規則の改正は、日本山岳耐久レース実行委員会の発案に基づき、一般財団法人日本山岳スポーツ協会の報告をもって行う。
- 当規則は、平成21年9月1日より施行する。
- 当規則は、平成29年9月14日より一部改訂する。
- 当規則は、令和3年5月10日より一部改訂する。
※ | 日本山岳耐久レース長谷川CUPの競技運営規則は当初、国民体育大会山岳競技・縦走競技規則を準用して来ました。国体から縦走競技が無くなり縦走競技規則も廃棄されたので独自の規則で運用を始めました。 |